今日も眠れない戸籍係職員のブログ

戸籍届出の日常を綴ります

ある金持ちの婚姻届

 男性なら一度は夢見る一夫多妻。

 そんな夢を現実にしている人を知る。

 

 ある男性の婚姻届がシンガポール大使館から送られてきた。

 その男性の職業は経営者。届書にはシンガポールに住んでいることになっているが、日本の住民登録地は港区のタワマンだ。

 経営者がシンガポール移住とは、税金対策なのだろう。お金持ちは羨ましい。

 その金持ち男が、シンガポール人女性と結婚したらしい。

 添付されている妻の両親の顔写真を見ると裕福そうな品のある顔立ちをしている。

 妻もきっと美人で上品なのだろう。金持ちで美人妻を持つとは何とも羨ましい。

 しかし、添付されている資料から男の情報を読み進めると1点の違和感。

 それは、この男はイスラム教であること。え?イスラム教?

 イスラム教なんて、日本に馴染みがない。ラマダンなんて(日本人にとって)過酷な風習もあるし、過激武装組織を連想させるような物騒な宗教に平和を尊びお笑いを好む日本人が入信するなんて意外すぎる。

 しかも、港区タワマン在住の経営者だ。六本木なんかの会員制バーで複数の女をといっかえひっかえ遊んでいるだろうに、まさかのイスラム教?

 その疑問が解消された。

 それは、イスラム教であれば、妻を複数娶ることができるということ。

 この経営者の年齢は40歳。中年にさしかかり、そろそろ妻を娶ることで社会的信用を得なければならない年齢であるが、1人の女では物足りないのだろう。立場上「不倫」をするわけにもいかない。

 家庭を持ち、公然と複数の女性と付き合える。そのためにイスラム教に入信か。

 ラマダンが何だ、過激派がなんだ、俺は女が好きなんだ。

 その男の心の声が聞こえてくるような気がする。

 この執念こそが、彼を経営者で成功させた所以であろう。

 世界を股にかけた現代の日本男児の生き様になんとも、天晴れだ。

 だがしかし、未だに住民票が日本に残っていることに、氷河期世代の慎重さ臆病さが見えて面白い。イスラム教に耐えられなくなったら安全な日本に帰れるように・・・。

 そのリスク回避のためにタワマンを残しているとは。

 タワマンは賃貸だろうか持ち家だろうか。維持することでさえかなりお金はかかることだろう。

 不景気だと言われている昨今、お金はあるところにはあるんだな。