今日も眠れない戸籍係職員のブログ

戸籍届出の日常を綴ります

夫婦の間には何が?

 「姻族関係終了届」というものがある。

 配偶者死亡後、死亡した配偶者の親族と法的に姻族関係を無くす届出だ。

 この姻族関係終了届はあまり知られていないというマイナーな届出である。

 久々にこの届出があったのでじっくり見てみることにした。

 夫が亡くなり妻からの届出である。

 どうやら、離婚届不受理申し出を妻が出しているようだ。

 不受理申し出というのは、離婚届出があっても受理しないでくださいとあらかじめ伝えておく届出である。

 この妻は、離婚はしたくないが夫の親族とは関係を切りたい?

 なんだかしっくりこない。さらに届書に目を通すと夫の死亡日が最近であることを知る。

 近くの戸棚に入っている、最近受けた死亡届が私を呼んでいる。つい手を伸ばす。

 やっぱり・・・。夫の死因は「自殺(縊死)」だった。

 そして過去に病歴のない突然の死亡。健康な者の突然の死。

 頭の中で想像が膨らむ。夫の死因は本当に自殺なのだろうか?

 届出に詳しく、まるで計算されたかのような妻の行動が私の想像の翼を広げる。

 まず考えられることといえば、保険金目的か。

 離婚してしまうと、保険金は子と両親に相続されてしまい、妻の取り分はなくなるので離婚はしない。

 無事、妻子が保険金を全額受け取った後、すみやかに夫の親族とは縁を切るという。

 巧妙でスマートなやり方だ。

 死体検案書を書いたのは、それをほぼ専門とする耄碌した年寄りの医者だ。

 自殺か事件か?警察の介入はどこまであったのか?

 世の中には、実はこんなケースはよくあるのかもしれない。